治療院は自費診療を中心に現金でのやり取りが多く、税務調査で「現金商売」として重点的に確認される業種のひとつです。意図的でなくても、売上の管理が不十分だと「売上除外を疑われる」ことがあります。実際の税務調査で確認される項目を踏まえ、日頃から気をつけたいポイントを見ていきましょう。

現金売上の記帳を後回しにしない

忙しさを理由に現金売上の記帳を後回しにしていると、記憶に頼った不正確な記帳になりがちです。日々のレジ締めと同時に記帳する習慣が、正確な売上管理の基本です。

予約記録・カルテと売上の整合性

税務調査では、予約表や施術録(カルテ)の来院件数と、会計上の売上件数を突き合わせて確認されるのが一般的な進め方です。施術記録の件数より売上件数が少ない場合、来院はしたのに売上が計上されていない施術があるのではないかと疑われます。逆に、記録の管理が煩雑で件数が一致しないだけでも、説明に時間がかかり心証を悪くしてしまうことがあります。日頃から記録の整合性を意識しておくことが大切です。

回数券・チケットは「販売時」ではなく「使用時」に計上する

治療院でよくある回数券やチケットの販売は、売上計上のタイミングを誤りやすいポイントです。回数券を販売した時点ではまだ施術を提供していないため、原則として売上ではなく「前受金」として処理し、実際に施術を行うたびに、使用した分だけ売上に振り替える必要があります。販売時に一括で売上計上してしまうと、期をまたいだ未使用分の扱いが決算書と合わなくなり、税務調査で指摘される典型的なパターンのひとつです。

キャンセル料の扱いも忘れずに

無断キャンセルやドタキャンに対して受け取るキャンセル料も、消費税・所得税の課税対象となる売上です。件数が少ないからと帳簿への計上を省略していると、後から指摘を受けた際にまとめて修正申告が必要になることがあります。少額でも都度記帳しておく習慣が安心につながります。

複数の会計ソフト・帳簿を使い分けない

経理を効率化するつもりで、レジのシステムと会計ソフトを別々に運用し、手入力で転記していると、かえって数字の管理が煩雑になり、記帳ミスや二重計上、あるいは計上もれが発生しやすくなります。可能であれば、レジや予約システムと会計ソフトを連携させ、一元管理できる体制を整えることをおすすめします。

不自然な現金残高の変動に注意

事業用の現金残高が、帳簿上の記録と大きくかけ離れている状態が続くと、税務調査で確認される可能性が高まります。定期的に現金残高と帳簿を突き合わせる習慣をつけましょう。

疑われることと不正であることは別

意図的な売上除外は当然あってはなりませんが、単なる記帳の不備や計上タイミングのズレが疑いを招くこともあります。正しく記帳していることを、日々の記録として残しておくことが何よりの防御策です。

よくある質問

Q税務調査では、具体的にどんな資料を見られますか?
現金出納帳、レジのジャーナル(取引記録)、予約表やカルテ、通帳の入出金履歴などを、相互に突き合わせて確認されるのが一般的です。特に自費診療の現金売上は、予約記録との整合性を重点的に見られる傾向があります。
Q回数券の未使用分は、決算のときにどう処理すればよいですか?
期末時点で使用されていない回数券の残高は、売上には計上せず「前受金」として負債に計上します。翌期以降、実際に使用された分から順次売上に振り替えていく形になります。
Q過去の記帳に不安がある場合、どうすればよいですか?
まずは直近の帳簿と予約記録・現金残高を突き合わせて、大きなズレがないか確認することから始めましょう。ズレが見つかった場合、放置せず早めに顧問税理士に相談し、必要であれば修正申告を検討することをおすすめします。

売上除外を疑われないための対策は、特別なことではなく、日々の正確な記帳と、計上タイミングの正しい理解の積み重ねです。治療院専門の税理士とともに、疑われる余地のない経理体制を整えましょう。

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