1院目の経営が軌道に乗ってくると、次に見えてくるのが「2院目」という選択肢です。しかし、勢いだけで出店に踏み切ると、資金繰りや人材確保でつまずいてしまうケースも少なくありません。分院開業支援の現場で見えてきた、分院展開を成功させるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

1. 売上目標の設定

まずは1院目の実績をもとに、2院目でどれくらいの売上を目指すのかを具体的に数値化します。1院目と同じ水準を最初から求めるのではなく、立ち上げ期・安定期といったフェーズごとの目標を段階的に設定することがポイントです。1院目が軌道に乗るまでにかかった月数を目安に、2院目の損益分岐点をシミュレーションしておくと、開業後の焦りを防げます。

2. 資金管理と融資の考え方

2院目の開業資金だけでなく、軌道に乗るまでの運転資金も含めて資金計画を立てる必要があります。1院目のキャッシュフローを圧迫しない範囲で、無理のない借入計画を組むことが大切です。実務上のポイントとして、1院目の返済実績や試算表の数字がそのまま2院目の融資審査の材料になります。1院目の決算内容が良好であれば、日本政策金融公庫の追加融資や、既存取引のある地方銀行からのプロパー融資など、選択肢が広がりやすくなります。逆に1院目の資金繰りが不安定なままでは、金融機関から2院目の計画自体を疑問視されることもあるため、まずは1院目の数字を整えることが分院展開の土台になります。

3. 分院長制度にするか、直営で管理するか

項目
院長が直接管理
分院長制度を導入
現場への目の届きやすさ
院長が巡回する分、把握しやすい
分院長に権限移譲が必要
人件費への影響
比較的抑えやすい
分院長手当などで人件費率が上がりやすい
拡大スピード
院長の稼働に限界がある
複数院を同時に展開しやすい

分院長を置く場合、分院長手当や歩合の設計次第で人件費率が想定より上がることがあります。分院展開のタイミングで人件費率の目安が変わることを前提に、収支計画を組み立てる必要があります。

4. 集客・リピート戦略

1院目で効果のあった集客施策が、2院目でも同じように機能するとは限りません。エリア特性や競合状況を踏まえたうえで、新規集客とリピート施策の両輪を設計しましょう。

5. マニュアル作成と経理の一元化

院長が現場に常駐できない分院展開では、施術やカウンセリングの質を均一に保つための業務マニュアルが欠かせません。あわせて見落とされがちなのが経理の一元化です。院ごとにレジや会計処理がバラバラのままだと、グループ全体の数字を把握するのに時間がかかり、経営判断が遅れる原因になります。分院を増やす前に、本院で経理を一元管理できる体制を整えておくことをおすすめします。

6. 評価・キャリアアップ制度

スタッフに現場を任せられる体制をつくるには、頑張りが正しく評価される仕組みが必要です。将来的に店長やマネージャーを目指せるキャリアパスを用意することで、分院展開を支える人材の定着にもつながります。

よくある質問

Q2院目を出すのに適した1院目の目安はありますか?
明確な基準はありませんが、1院目の利益率が安定し、院長が現場を離れても運営できる体制(スタッフの育成)が整っていることが、ひとつの目安になります。試算表上の利益だけでなく、現場のオペレーションが院長不在でも回るかどうかも重要な判断材料です。
Q分院展開のタイミングで法人化した方がよいですか?
複数院を運営する場合、社会保険の適用や税務上のメリットから法人化を検討される先生が多いです。分院展開のタイミングと法人成りのタイミングをあわせて検討すると、手続きの手間を一度にまとめられます。
Q2院目の資金調達で、1院目と違う点はありますか?
1院目は事業計画書中心の審査になりますが、2院目以降は1院目の決算実績が重要な審査材料になります。試算表や確定申告書の内容が、そのまま金融機関からの信用につながるため、日頃からの数字の管理が2院目の資金調達のしやすさを左右します。

アトラス会計では、これらのポイントを数字の面から具体的にサポートしています。「2院目を出す前に、今の数字で大丈夫か確認したい」という段階でもお気軽にご相談ください。

← コラム一覧に戻る