鍼灸院を開業するにあたり、自己資金だけで開業資金をまかなえる方は多くなく、多くの先生が何らかの融資制度を活用して開業されています。鍼灸院の開業でよく活用されている融資制度と、鍼灸院ならではの資金計画のポイントをまとめました。
日本政策金融公庫の新規開業資金
個人事業主や小規模な法人の開業でもっとも利用されているのが、日本政策金融公庫の融資です。新規開業資金は、事業を始めてから間もない方でも申し込みやすく、無担保・無保証人で利用できる制度もあります。事業計画書の内容が審査で重視されるため、開業後の売上見込みや資金繰りを具体的に示すことが重要です。鍼灸院の場合、保険診療(はり・きゅう療養費)と自費診療の比率によって売上構造が大きく変わるため、この比率を計画書の中で明確に示せるかどうかも、審査官の理解を得やすくするポイントになります。
信用保証協会の制度融資
地方自治体と信用保証協会、金融機関が連携している制度融資も選択肢のひとつです。自治体によっては利子補給などの優遇措置が用意されていることもあり、地域によって条件が異なります。開業する地域の制度を早めに確認しておくとよいでしょう。制度融資は、公庫の融資と組み合わせて利用することで、開業資金全体の借入可能額を広げられるケースもあります。ただし、審査には信用保証協会の保証審査も加わるため、公庫単独の融資よりも手続きに時間がかかりやすい点は理解しておく必要があります。
民間金融機関のプロパー融資
開業したばかりの段階では、民間金融機関から直接融資を受けるプロパー融資のハードルは高めです。まずは公庫や制度融資で実績を作り、事業が軌道に乗ってから民間金融機関との取引を広げていくのが一般的な流れです。
鍼灸院ならではの資金計画のポイント
鍼灸院は、施術用ベッドや電気鍼、灸関連の消耗品など、整骨院と共通する設備投資に加えて、鍼・灸特有の衛生管理設備(滅菌器など)への投資も必要になります。また、はり師・きゅう師の資格取得課程は年数がかかるため、開業までの間に貯めてきた自己資金の額や、開業前の勤務先での経験年数が、他業種以上に重視される傾向があります。これらの点を踏まえ、設備資金だけでなく、開業後数か月分の運転資金までしっかり見込んだ資金計画を立てることが大切です。特に保険診療を扱う場合、施術から入金までにタイムラグが生じるため、その間の資金繰りを見込んだ運転資金を多めに確保しておくと、開業直後の資金ショートを防ぎやすくなります。目安として、固定費の3〜6か月分を運転資金として確保しておくと、患者数が安定するまでの期間も安心して経営に集中できます。
3つの融資制度を比較する
日本政策金融公庫の融資を受けるコツについては「日本政策金融公庫の融資を受けるポイント」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
融資を受けるために準備しておきたいこと
融資審査では、自己資金の割合、事業計画の実現可能性、これまでの経歴などが見られます。特に自己資金は、開業資金の1〜2割程度は用意しておきたいところです。また、コツコツ貯めてきた自己資金であることが通帳の履歴からも分かると、審査官の印象もよくなります。詳しくは「開業資金の自己資金はどれくらい必要?」をご覧ください。
よくある質問
Q鍼灸院ならではの融資審査のポイントはありますか?
Q複数の融資制度を同時に利用することはできますか?
Q開業前に勤務先を辞めていないと融資は受けられませんか?
融資は「借りられるかどうか」だけでなく、「無理なく返済できる金額かどうか」も重要な視点です。特に鍼灸院は、保険診療の入金サイクルが数か月遅れになることも多く、資金繰りの見通しを立てにくい業種でもあります。治療院専門の税理士であれば、事業計画書の作成から金融機関とのやり取り、開業後の資金繰り管理まで、開業される先生に寄り添ってサポートします。「どの制度が自分に合っているか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。開業までのスケジュールにあわせて、無理のない資金計画を一緒にご提案します。