往診や訪問施術、物品の買い出しなどで車を使う治療院も多く、「車は経費にできますか?」「どこまで認められますか?」というご質問をよくいただきます。特にプライベート利用との兼ね合いは、多くの先生が迷うポイントです。車に関する経費の考え方から、プライベート利用がある場合の按分方法、個人事業と法人での違いまでまとめました。

事業利用分は経費にできる

治療院の業務で使用している車であれば、購入費(減価償却費)、ガソリン代、車検・整備費用、自動車保険料、駐車場代などを経費として計上できます。往診や訪問施術で日常的に車を使う治療院では、これらの費用が年間を通じて大きな金額になることも珍しくありません。自賠責保険料や自動車税、ETC利用料なども同様に経費として計上できる対象です。

プライベート利用がある場合は按分が必要

治療院専用の車ではなく、プライベートでも使用している場合は、事業利用の割合に応じて按分する必要があります。走行距離の記録や使用実態をもとに、合理的な割合を算出することが求められます。例えば、週の総走行のうち往診や買い出しに使う日数の割合、あるいは走行距離のログをもとに「事業利用60%・プライベート利用40%」のように按分するのが実務上の一般的な方法です。一度決めた割合をずっと使い続けるのではなく、実際の利用状況が大きく変わった場合は、都度見直すことが望ましいとされています。

個人事業と法人での違い

個人事業の場合、車の利用実態に応じた按分計算が必要ですが、法人の場合は、法人名義で購入し社用車として位置づければ、社内規程やログの管理をしっかり行うことで、より広い範囲を経費にできる余地があります。ただし、実態が伴わない100%事業利用の主張は、税務調査で否認されるリスクがあるため、走行記録は日頃からこまめに残しておくことが大切です。法人の場合は、車両管理規程を整備し、私的利用を制限するルールを明文化しておくと、より説明力が高まります。

減価償却の考え方

車の購入費用は、原則として法定耐用年数(普通自動車で6年、軽自動車で4年が目安)にわたって減価償却します。中古車を購入した場合は、耐用年数が短くなるため、早いペースで経費化できることがあります。特に、4年落ちの中古車は耐用年数の計算上2年となり、初年度に多くの金額を経費化できるケースがあることでも知られています。ただし、これはあくまで会計上の耐用年数の計算方法であり、実際の車両の状態や使用可能期間とは別の話である点は理解しておきましょう。

リースという選択肢

車を購入する代わりにリースを利用すれば、月々のリース料をそのまま経費にできるため、経理がシンプルになるというメリットがあります。初期費用を抑えたい場合にも検討する価値があります。ただし、プライベート利用がある場合は、リース料についても事業利用分の按分が必要になる点は購入時と同様です。カーリースには「メンテナンスリース」のように車検・整備費用まで含めたプランもあり、経費として計上する項目がリース料に集約されるため、経理をシンプルにしたい治療院にとっては選択肢のひとつになります。

よくある質問

Q按分割合の根拠として、何を記録しておけばよいですか?
走行距離を記録する運転日誌が最も確実な根拠になります。難しい場合は、往診・買い出しなど事業目的での利用日数と、プライベートでの利用日数を手帳やスマホのカレンダーに記録しておくだけでも、按分の根拠として活用できます。予約管理システムの訪問記録と連動させると、より客観的な証拠になります。
Q家族名義の車を治療院の経費にすることはできますか?
車の名義が事業主本人でなくても、実際に事業のために使用し、費用を負担しているのであれば経費にできる場合があります。ただし、保険や税務上の扱いが複雑になることがあるため、事前に税理士に確認しておくことをおすすめします。
Q高級車を購入した場合でも、全額経費になりますか?
車両価格が事業規模に対して不相応に高額な場合、経費として認められる金額が制限されることがあります。特に、開業間もない治療院で高級車を購入すると、税務調査で事業との関連性を厳しく確認されるリスクが高まる点に注意が必要です。購入前に、事業規模とのバランスを冷静に見極めることをおすすめします。
Q電気自動車を購入すると、税制優遇はありますか?
環境性能に応じて自動車税・環境性能割が軽減される制度があり、電気自動車は優遇の対象になりやすい傾向があります。減価償却の考え方自体はガソリン車と同様ですが、購入時の税負担を抑えられる可能性があります。

車の経費計上は、事業利用の実態をどう説明できるかがポイントです。按分の考え方や記録の残し方に迷ったら、治療院専門の税理士に相談しながら進めましょう。日頃からの記録の積み重ねが、税務調査への一番の備えにもなります。

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