「なんとなく忙しいのに、なぜかお金が残らない」という悩みは、経営に必要な数字を把握できていないことが原因のケースが多くあります。毎月たくさんの治療院の試算表を見ていて感じるのは、業績が伸びている院とそうでない院の違いは、特別なノウハウよりも、いくつかの基礎的な数字を定点観測できているかどうかに集約されるということです。整骨院・整体院の経営で最低限押さえておきたい数字の目安をご紹介します。
人件費率:20〜35%が目安
売上に対する人件費(給与・社会保険料など)の割合です。院長お一人の個人経営か、スタッフを雇用しているかによって適正水準は変わりますが、一般的には売上の20〜35%程度に収めるのが目安とされています。この比率が高すぎる場合、単価設定や生産性の見直しが必要なサインかもしれません。
材料費率:5%前後が目安
包帯やテーピング、電気治療の消耗品といった材料費は、売上の5%前後に収まっているかを確認したい費目です。見落とされがちですが、自費メニューを増やすとオイルや機器のカートリッジなど材料費も比例して上がりやすいため、自費比率が高い院ほど、この比率を毎月チェックする習慣をつけておくと、値上げやメニュー改定のタイミングを判断しやすくなります。
広告費率:10%前後が目安
新規集客のための広告費は、売上の10%前後に収めるのが一般的な目安です。開業直後は認知獲得のためにやや高くなる傾向がありますが、リピート・紹介の仕組みが整ってくるにつれて徐々に下げていけるのが理想です。
家賃比率:10%前後が目安
家賃も売上に対する比率で管理すべき費目のひとつです。目安は10%前後とされ、これを超えると固定費の重さが経営を圧迫しやすくなります。物件選びの段階から、想定売上とのバランスを意識することが大切です。
売上は「新患数×客単価×リピート率」に分解する
売上を漠然と眺めるのではなく、新患数・客単価・リピート率という3つの要素に分解すると、数字が伸び悩んでいる原因を特定しやすくなります。例えば売上が横ばいでも、新患数が減ってリピート率で補っている状態と、新患は増えているのに定着せず流出している状態とでは、打つべき対策がまったく異なります。3つの数字を毎月並べて見ることが、感覚的な経営から数字に基づく経営への第一歩です。
保険診療と自費診療の比率
保険診療のみに依存している治療院は、単価の上限が制度で決まっているため、患者数を増やす以外に売上を伸ばす手段が限られます。自費メニューの比率を高めることで客単価を引き上げられる一方、自費売上が一定額を超えると消費税の課税事業者になるタイミングにも影響します。売上の内訳を保険・自費で分けて把握しておくことは、単価戦略と税務の両面で欠かせない視点です。
スタッフ1人あたり売上高
複数名で運営している治療院では、スタッフ1人あたりの月間売上高も重要な指標です。この数字が業界の目安を大きく下回っている場合、稼働率(予約枠の埋まり方)や技術力、あるいは人員の配置バランスに課題がある可能性があります。増員のタイミングを検討する際にも、この指標を基準にすると判断がぶれにくくなります。
売上規模と利益率の関係
規模が大きくなるほど利益率は下がっていく傾向にあります。「売上は増えたのに手元に残るお金が増えない」と感じたときは、規模拡大にともなう固定費・人件費の増加が影響している可能性が高く、売上の伸びだけでなく、利益率の推移を並行して確認することが大切です。
よくある質問
Qこれらの目安は、保険診療中心の院と自費中心の院で違いますか?
Q自分の院がこの目安から外れていたら、すぐに問題ということですか?
Qこれらの数字を毎月確認するには、どうすればよいですか?
アトラス会計では、毎月の試算表をもとに、こうした経営数字を先生ご自身で見て判断できる状態を目指してサポートしています。「自分の院の数字が目安と比べてどうなのか知りたい」という方は、ぜひ無料相談をご利用ください。